マツ枯れについて��(2011.08.23)



2.松枯れの傾向

それではスギ枯れのときと同じように、松枯れの特徴や分布について調べてむましょう。「松枯れ病」で検索すると、まずウィキペディアがヒットします。ここでは「マツ材線虫病」として紹介されていますが、マツ枯れの傾向については詳しく書かれていません。

あえて傾向を探してみると、「症状」の項目に「外見上は、盛夏から秋にかけてそれまで正常であったマツの針葉が急速に褐変して枯死する。多数の個体が同時に発病すると、さながら紅葉のような様相を呈する」とあります。

大気汚染との関連については「発病に影響する因子」の項目で「大気汚染や酸性降下物など環境汚染も誘因となる。これらは単独ではストレスとはなっても、健全なマツを枯死にまで追い込むことはあまりないと考えられている」とあるだけです。



次にヒットしたのが、いつもお世話になっている岡山理科大学の波田研のホームページです。ここの「松枯れ病」についての論文は、1987年の新聞に掲載されたそうですが、「苦節十年」と題された項目にマツ枯れの傾向が詳しく書かれています。分かり易いように箇条書きにしてみます。

[傾向1] 成長した大きな松ほど枯れやすく、高木の下で細々と生きてきた成長の悪い松ほど残りやすい。

[傾向2] 年を取った松ほど枯れやすく、若い松ほど枯れにくい。

[傾向3] 平地や山すその松ほど枯れやすく、尾根や頂上などの松は残りやすい。

[傾向4] 下ばえの茂った松ほど被害が大きく、下生えの少ない林ほど枯れにくい。

[傾向5] 海抜が高いほど枯れにくく、三百�丹幣紊了鈎呂任枠鏗欧�ほとんどない。

[傾向6] 花崗岩の山では枯れにくく、堆積岩の地域では枯れやすい。

まとめとして「水分条件の良い場所で、大きく育ったマツほど被害に遭いやすいことになる」としています。その理由については「武士は食わねど・・・・」の項目に詳しく書かれていますので興味のある方は読んでみてください。

それではこれらの傾向を頼りに、大気汚染の面から松枯れを考えてみたいと思います。ただし、わたしの言う大気汚染とは、硫黄酸化物や窒素酸化物によるものではなく、家庭ゴミを野焼きしたときに発生する塩化水素などの有害物質が、逆転層に遮られ、拡散できなくなって発生する局所的な大気汚染のことです。

[傾向1] 「成長した大きな松ほど枯れやすい」というのは、スギ枯れの特徴や分布と同じです。逆転層直下に滞留した汚染物質を被爆するには、ある程度の大きさ(背丈)が必要です。「成長の悪い松ほど残りやすい」というのは、背が低ければ汚染物質を被爆しないわけですから当然のことです。

[傾向2] 「年を取った松ほど枯れやすく、若い松ほど枯れにくい」というのは、年を取ったマツは大きく、若いマツは小さいわけですから、これは傾向1とほぼ同じことでしょう。

[傾向3] 「平地や山すその松ほど枯れやす」いのは、人家が近くにあって、家庭ゴミを焼却するからでしょう。「尾根や頂上などの松は残りやすい」というのは、そこに生えているマツは逆転層の上に位置するので汚染物質を被爆しないからだと推理できます。しかし、逆転層の発生する高さにある低い尾根でも、マツが枯れずに残っているとしたら、この推理は当てはまらないことになります。

[傾向4] については、私の観察からは何とも言えないので省略します。

[傾向5] 「海抜が高いほど枯れにくく、三百�丹幣紊了鈎呂任枠鏗欧�ほとんどない」というのも、逆転層の発生する高さより上にあるからでしょう。3百メートルもの高さでは、まず逆転層は発生しないと思います。仮に発生したとしても、汚染物質が逆転層に届くまでに、濃度はかなり低くなってしまうはずです。

ちなみに、最近発見した日光のスギ枯れの写真を見てください。鯉のぼりのある写真を見ると、逆転層は人家の高さの4〜5倍の位置に発生しているようです。

[傾向6] についても、私の観察からは何とも言えないので省略します。



写真3

それでは写真3を見てください。これは武蔵丘陵の尾根にあるマツですが、春先に撮ったものです。背の高いマツが3本並び、その左に小さいマツがあります。この小さいマツは遠くのやや低いところにあります。

この背の低いマツは、幹が途中でカットされたような姿をしており、梢端がフラットになっています。これは『スギ枯れ病について』で紹介した「梢端枯れ欠損」ではないでしょうか。だとすると、写真に書き込んだ灰色の線のあたりに逆転層が発生したことになります。

やはりマツも、逆転層と塩化水素の影響を受けているようです。このことは最近になって気がついたので、もういちど観察に行ってみようと思います。(つづく)





| いままでの観察目次 | HOME |