スギ枯れ病について��(2011.04.13)

スギ枯れ病について書きはじめたときは、梢端枯れだけを扱うつもりでいましたが、途中から新しい事実が見つかり、スギは様々な枯れ方をしていることが分かってきました。

写真18
写真18を見てください。これは隣町のN町にあるスギの巨木です。このスギを見つけたことで、スギ枯れ病の全体像が見えてきました。見てわかる通り、木の中ごろが枯れています。

なぜ中ごろが枯れているのかというと、ここは武蔵丘陵の中腹に位置するため、いままでの写真に登場したスギより標高の高い位置にあります。すると、逆転層の発生する位置は相対的に低くなり、写真の枯れた部分の高さに逆転層が多く発生したと思われます。

そうすると木の中ごろが、家庭ゴミの野焼きによって発生した塩化水素などを被爆することが多くなり、枯れたものと考えられます。つまり、木の高さと、その木の生えている標高によって、スギの木のどの位置の枝葉が枯れるかが決まってくるのです。


図1

図1は初めて描いたので、ほとんど殴り書きですが、勘弁してください。図には3本のスギが、それぞれ標高の異なる位置に書いてあります。横に引いた黒いモヤモヤが逆転層の境界に発生した塩化水素などの汚染層です。

スギAは梢端が汚染層にかかっているので梢端枯れになります。スギBは梢端が汚染層の上にあるので梢端は枯れず、その下の部分が枯れます。写真11や12のスギがこれに相当します。スギCは説明するまでもなく写真18の場合です。もちろん、BやCの隣に梢端が汚染層にかかる高さのスギの木があれば梢端枯れを起こします。

図の汚染層についてですが、描いてあるように平野部から山間部にわたって途切れなく発生することは実際にはないと思います。ゴミの回収が遅れていた都市の上空とか、農山村の集落の上空など、人家のある地域に部分的に発生したはずです。

こうした汚染層は、時間的には早朝に発生することが多かったでしょうね。そして、日が高くなると逆転層は解消されてしまうことがほとんどなので、汚染物質も拡散してしまいます。このように、極めて限られた時間に局所的に発生するため、行政も実態を把握するのが困難だったのではないかと思われます。

いわゆるイネ科花粉症の集団発生と推定された事件も、早朝に騒ぎが起きてから、報告を受けた行政が調査に乗り出してきましたが、そのときはすでに原因となる物質は拡散してしまっていますから、なかなか結論を出すことはできませんでした。歴史的に見ても、大気汚染物質のなかで、塩化水素が末席に甘んじているのは、そのような理由によるものではないでしょうか。

写真19

こうして、いろんなことに気づいてくると、いままで見慣れていた風景が、いつもと違って見えてきます。写真19を見てください。あえて書き入れませんが、横方向に逆転層が発生したはずの下限の白い線を引くべき位置が見えてくるはずです。上限の黒い線はどの高さに引くべきかは確定できません。

白い線の下は枝葉が多く健康なスギの姿で、白い線の上は逆転層の汚染に痛めつけられて枝がまばらになっています。突出した大径木は梢端枯れ欠損を起こしているはずです。

この写真では、白い線は右下がりに斜めになっているようです。ちなみに、方角としては右側が東、左側が西になっています。

次回は宮崎県の梢端枯れについて考えます。( 続く )


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