kausatu2011.11.03

マツ枯れについて⑫(2011.11.03)

平野部のマツのつづき

住宅密集地から離れると人家はまばらになり、マツの姿を横から捉えることが容易になります。そこでも目立つのは梢端がフラットなマツです。

写真１再

前に撮った写真を見直していて気づいたのですが、これはプロローグで紹介したマツです。中央は枯れていますが、３本とも同じような高さで梢端がフラットになっています。

これは、３本とも同じ高さで梢端の幹が折れたのか、それともかつて逆転層の下に滞留した塩化水素などの汚染物質を被爆したのか、どちらの可能性が高いかといえば後者の方です。「ついに塩化水素の被爆による梢端枯れ欠損を見つけたか」と思い、あらためて観察に行ってみると、その推理はみごとに打ち砕かれました。

写真４０

これは写真１の左側のマツを近くから撮ったものです。見ると、梢端の折れた幹が枝に引っかかっています。ちょうどＹ字型の幹であったために、折れて倒れるときにうまく枝にひっかったのでしょう。これで、３本とも同じ高さで梢端の幹が折れた可能性も打ち消すことができなくなりました。

もし強風で折れたとすれば、葉が付いていた方が重いので、枯れていないときに折れた可能性の方が高いと思います。
尚、このように風などで折れて梢端がなくなった場合を『梢端折れ欠損』と呼ぶことにします。

写真４１

これはいくつかの商業施設が並ぶ道路近くのマツです。やはり、どのマツも同じような高さで止まっています。

写真４２

集落と林の交じり合う地域にくると、そこにあるマツもやはり梢端がフラットになっています。それにしても、この姿はみごとです。まるで見えない天井があって、それ以上は上に伸びることができない、というような姿をしています。

写真４３

少し離れたところにも同じようなマツがあります。高さはどれも同じくらいで、横に広がった枝はまるでテーブルサンゴのようです。これらのマツも梢端折れ欠損なのでしょうか？

しかし、このようなマツを見ると、わたしの仮説を棄て切ることはできなくなります。つまり「写真の灰色の線の高さに逆転層が発生し、その直下に塩化水素などの汚染層が何度も発生したので、マツは上に伸びることができなかったのではないか」という仮説です。
しかしながら、この仮説は今のところ証明はできないので、強弁することはできません。（つづく）

| いままでの観察目次 | home |