kausatu2011.10.19

マツ枯れについて⑩(2011.10.19 )

マツの新芽はなぜ枯れるのかのつづき

いま観察している６本のマツのうち、梢端が健全なのはマツ１だけです。マツ２の梢端は写真２０と２３で紹介しました。他の４本の梢端も紹介しておきます。

写真３１

こちらはマツ３の梢端です。新梢はほとんど枯れてひどい状態です。ディプロディア病とか多芽病が重なっているような気がします。枯れた新梢を数えてみると１２本ありました。生きた新梢は３本ありますが短いままで成長していません。

写真３２

マツ４は根元から二股に分かれていて梢端が二つあります。ひとつはやはりディプロディア病のようで、枯れた新梢は８本あります。枯れない新梢も１０本以上ありますが、１本だけ左上に長く伸びた枝が勝ち残るようです。

写真３３

マツ４のもうひとつの梢端はいくつか新芽が枯れていますが、２本の枝が長く伸びています。たぶんこの２本が勝ち残ってＹ字型の幹になるでしょう。

写真３４

マツ５は全体が枯れてしまうのではないかと思うほどひどい状態です。枝が何本か長く伸びていますが、生きているのはかろうじて１本だけです。

写真３４

マツ６は７ｍほどの高さがありますが、先端の新芽が黒くなってディプロディア病のような枯れ方をしています。さらに、その下の昨年一年かけて伸びた幹の部分まで枯れています。これも左右の枝が勝ち残りＹ字型の幹になる可能性が高いです。

先端の新芽が枯れたとき、周りの枝はまだ短かったわけで、これこそ塩化水素と逆転層による梢端枯れではないかと一瞬思いましたが、枯れたのは昨年あたりですから、その可能性はありません。家庭ゴミの焼却はとうに禁止されています。

さて、今までの観察の結果、マツの新芽や新梢が枯れるのは虫に食害されたり病気にかかったりするためであることが分かってきました。するとマツの梢端では、枝の有力なものが勝ち残り、まるで幹のように（幹として）太く成長していくようです。そのためにＹ字型やクランク型の幹を持つマツが多く見受けられるわけです。

マツの幹や枝の複雑な形と、塩化水素などによる大気汚染との因果関係は、これまでの観察からは見い出すことができませんでした。次回は平野部のマツを観察してみようと思います。（つづく）

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