kausatu2011.08.02

マツ枯れについて①(2011.08.02)

プロローグ

「塩化水素の被爆によってスギやヒノキが枯れるなら、マツだって枯れるはず、もしかしてマツ枯れ病の原因はマツノザイセンチュウではなく、塩化水素ではないのか」とまあ、そう考える人もいるはずです。

写真１

写真のマツは昨年は緑一色でしたが、今年の春に気がついたら全枯れになっていました。原因は昨年の猛暑と少雨によるものではないかと思われます。いわゆる「水ストレス」というやつでしょう。それとも、やはりマツノザイセンチュウによって枯れたのでしょうか。

というわけで、２００３年に家庭ゴミの野焼きをやめた後も松枯れは発生しています。わたしとしては、松枯れの原因は複数あるはずであり、行政のいうマツノザイセンチュウ（マツノマダラカミキリ）だけが松枯れを引き起こしているのではないと考えています。

少なくとも２００４年ごろまでの松枯れの何割かは、逆転層と塩化水素のセットによって発生していたはずです。それを、これから少しずつ考えていきたいと思います。はたして、どこまで切り込めるでしょうか？

１．マツとスギの大きな違い

写真２

わたしが松枯れ病の寄生虫説に疑問を感じたのは、写真２のような姿のマツを見たときです。このマツはアカマツの典型的な姿をしています。どこが典型的かというと、枝葉のない幹が長く伸びて、梢端部分だけに枝葉が集中しているというところです。

写真のマツの左側にはスギがありますが、スギの場合は樹木全体の３分の２ほどの範囲に枝葉が繁茂しています。マツとスギとでは、これほどの大きな違いがあります。

もし、かつて家庭ゴミの野焼きが禁止されていない時代に、写真に書き入れた灰色の線の高さに逆転層が発生し、アカマツの葉は塩化水素を被爆して枯れてしまったとします。するとこのマツの葉は梢端部分にしかありませんから、ほとんどの葉を失うことになり窒息状態になります。

すると、針葉樹は広葉樹のようにすぐに葉を再生できませんから、樹木内の水の循環は止まり、温度を一定に保てなくなって枯れてしまうでしょう。もっとも、梢端にしかない葉が枯れた時点で、わたしたちの目には樹木全体が枯れたように見えることになります。

一方、スギの場合も塩化水素を被爆して梢端部分の葉が枯れます。ところがスギは、枯れた葉の下にも沢山の葉がありますから、すぐに樹木全体が枯れたようには見えることはありません。いわゆる「梢端枯れ」という状態になるだけです。

こうして、弱ったマツ、あるいは枯れかかったマツに、マツノマダラカミキリやマツノザイセンチュウガ侵入し、マツを完全に枯らし、さらには腐らせていくのではないか、というのがわたしのマツ枯れに対する考え方の第一歩です。（つづく）

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