スギ枯れ病についてH(2011.04.27)
スギ枯れの原因が逆転層と塩化水素などによるものだとすれば、被害を受けるのはスギだけにとどまるはずはなく、他の樹木も影響を受けているはずです。今回はスギ以外の樹木の梢端枯れを紹介していきます。 写真22 左からスギ、ヒノキ、スギとなっています。右側のスギはなんとか枯れずに持ちこたえていますが、中央のヒノキは梢端枯れを起こしています。左側のスギは梢端枯れ欠損です。ヒノキの梢端は枝がかなり多いですね。 写真23 このヒノキは枯れた梢端が幹だけになっています。枯れてからかなりの年月が経っているはずです。 このほかにもヒノキの梢端枯れはあちこちで見つかります。梢端枯れはスギだけの問題ではなかってのです。 写真24 広葉樹でも梢端枯れを起こしています。こちらはケヤキの梢端枯れです。写真の右側にはスギが同じ高さで枯れています。高台にあるので枯れている位置はそれほど高くはありません。 ケヤキは枯れても下から枝が伸びてくるので枯れ死することはないでしょうね。 写真25 おなじくケヤキの梢端枯れです。細い枝はなくなっているので、かなり前に枯れたと思われます。 ケヤキが枯れるとはよほどのことです。新芽が出始めたころに被害を受けたのでしょうか? 写真の左側には枯れ死したスギがあります。見つかったケヤキの梢端枯れはこの2本だけです。 写真26 これは東松山市M神社の梢端枯れです。右側はスギで、左側はモミでしょうか。みごとな枯れっぷりです。 独立行政法人 国立環境研究所によると神奈川県丹沢山系の大山ではモミの枯れ死が問題になっているそうです。「酸性雨によって植物は枯れる?」と題した調査報告を読んでみてください。 この中の「大山は相模湾方面から運ばれてくるガス状大気汚染質に直接さらされるが」という点に関しては、宮崎県のスギ枯れと同じメカニズムを連想しますが、「スギやマツ等の他の針葉樹の樹勢はいたって健全であった」というくだりには驚くしかありません。神奈川県ではスギ枯れや松枯れはないんでしょうか? また「ヨーロッパでは,これまでの大気汚染の主要因はSO2やNO2であり,O3等の光化学オキシダントは大気汚染物質として重要視されてこなかった」とし、結論として、原因は「光化学オキシダントによって起っている可能性が高い」としていますが、皆さんはどう思われますか。 ここでも注目したいのは、現在でもモミの枯れ死は発生しているのか、これからも枯れ死は進行していくのか、ということです。次回は新たな疑問についてです。(つづく) | いままでの観察目次 | HOME | |