kausatu2011.04.06

スギ枯れ病について⑥「梢端枯れ欠損」(2011.04.06)

疑問２　同じ高さでも梢端が枯れているスギと枯れていないスギがある。

写真８再

この疑問２は水ストレス説でも説明できませんが、逆転層と塩化水素でも説明できません。左のスギの梢端が枯れるためには、黒い線と白い線の間に逆転層が発生したと考えられますが、そうすると右のスギも梢端が枯れていなければなりません。

なぜ枯れていないのかと思ってよくよくこのスギを観察してみると、枝がまばらであることに気がつきました。やはりこのスギも逆転層と塩化水素の影響をうけているようです。そこで、健康なスギの姿をこのスギに当てはめてみると、写真の中の細い線のような形になります。

すると、このスギの梢端はもっと上にあり、逆転層の汚染に晒されていたと思われます。ならばこのスギも梢端枯れを起こしていて、そして枯れた梢端は朽ち果ててしまったのではないかと想像できます。そこで、四方からこのスギを観察してみると、やはりその通りでした。

写真１５

写真８の右のスギを左方向から撮影して梢端を拡大しました。すると中央の空白に枯れて折れ残った細い幹が確認できます。やほり、このスギも梢端枯れを起こしていたのです。

疑問２はわたしの勘違いでした。しかし、このスギは、わたしのスギ枯れ病に対する考え方の原点です。このスギに気づかなかったら、いままでの発見はなかったかもしれません。枯れた梢端が、折れてれてなくなっているスギがあることも気づかせてくれました。

写真３再

以前撮影した箭弓神社の写真の中におかしなスギがあるのを思い出しました。写真３の左のスギも梢端枯れを起こしていたと考えられます。枯れた幹はなくなっていますが、右のスギと同じくらい長かったのではないでしょうか。

もし、そうであれば、元のスギの姿は緑の線のような形だったと思われます。このほかにも、このように梢端が不自然な形のスギは、梢端枯れを起こしている可能性があります。

この、梢端枯れを起こして枯れた幹が朽ち果てている状態を「梢端枯れ欠損」と呼ぶことにします。写真７、１３の大径木も梢端枯れ欠損であると思われます。

写真１６

このスギは国道から家一軒分離れた位置に並んでいます。背の低い右のスギは梢端枯れを起こしており、背の高い左のスギは先端がフラットになっています。しかしよく見ると、これも梢端枯れ欠損です。

梢端が枯れると、すぐ下の枝が横に枝を広げて、こういうフラットな形になるようです。また、この地域では逆転層の発生する高さが一定していないようで、あちこちに枯れ枝が目立ちます。車の通行でかき乱されるのでしょうか？

写真１７

このスギはかなりの老齢木ですが、武蔵丘陵の少し高めの位置にあります。やはり先端がフラットになっていて、梢端枯れ欠損であることは明らかです。

逆転層が発生する位置は巾が広いと予想されるますが、枝葉がなくなってくびれている位置に最も頻繁に発生するのでしょう。

次回はスギ枯れ病の全体像が明らかになります。（　続く　）

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