kausatu2011.03.09

スギ枯れ病について②(2011.03.09)

前回は、スギの梢端枯れが近年になって新たに起きていないことから、水ストレス説では梢端枯れの説明がつかないことを指摘しました（疑問１）。これからもいくつかの疑問を紹介していきますが、その前に、一般のスギについて説明しておきたいと思います。

写真５

まずは写真５を見てください。健康なスギはこのような姿をしています。下の方の枝は太く長く、上にいくにしたがって短くなり、全体は二等辺三角形の形に葉を広げます。このような大径木木でかつ孤立・突出木は探せばまだいくらでも見つかります。しかし、近年になって先端が枯れたスギは見当たりません。

写真６

つぎに写真６を見てください。若いスギは先端が尖っていて、いままさに成長段階にあることを示しています。これが年をとると成長が鈍り、中央のスギのように先端が丸くなっていきます。これらのスギも先端は枯れていません。

写真７

さらに写真７のスギはもっと年をとっています。枝はまばらになり、二等辺三角形の形が崩れています。ところどころに枯れ枝が目立ちます。このスギも大径木・孤立木ですが先端は枯れていません。

写真８

写真８は東松山市の郊外にあるスギですが、水ストレス説に疑問をもった最初の１枚です。左のスギは梢端枯れを起こしています。枯れた部分が短いので、箭弓神社のスギより遅く枯れたと思われますが、すでに枯れた枝葉はありません。

まだ枯れたばかりではないかと思う人もいるかもしれませんが、観察を始めたころ（２００３年）には、すでにこの状態でした。それから現在まで変わっていません。

ところが、右のスギは同じ高さでありながら枯れていません。もしスギの梢端枯れの原因が水ストレスだとすれば、右のスギも先端が枯れているはずです。これは何を物語っているのでしょうか。

当初は、左のスギの先端が枯れたとき、右のスギはまだ低木だったので枯れなかったのではないかと思っていました。その後成長して左のスギと同じ高さになったと思っていたのです。

しかし、この頃よく観察してみると、太さも同じで、先端から下は枝ぶりも同じようで、どう見ても樹齢は同じに見えるのです。つまり、この２本のスギは始めから同じ高さだったのではないかと思えるのです。では、なぜ右のスギは先端が枯れていないのでしょうか（疑問２）。これも水ストレス説では説明がつきません。（　続く　）

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